ニューズレター


2017.Apr Vol.29

駐車場の立退きについて


不動産業界:2017.4.vol.29掲載

私は、更地の駐車場を人に貸しているのですが、最近その土地に新しく賃貸用物件を建てたいと考えています。そのために、駐車場の賃借人の方との賃貸借契約を解除して土地を明け渡して欲しいと考えているのですが、賃借人の方からは「出ていかない。」と言われてしまっていて、困っています。
私が聞くところだと、不動産の賃借人は法律で手厚く保護されていて、何の違反もない賃借人については、その同意がない限り、一方的に契約を終了させることができないというように聞いているのですが、本当なのでしょうか。


土地の賃貸借契約書には、通常、契約期間中の中途解約条項が入っており、多くの場合、賃貸人から解約を申し入れた場合は2ヶ月(賃借人からの場合は1ヶ月)の経過をもって当該賃貸借契約は終了する旨が定められているかと思います。したがって、賃借人の合意が得られなくても、中途解約条項があれば、それに基づいて解約を申し入れて、一定期間経過後に賃貸借契約を終了させることができます。
なお、「賃借人は法律で手厚く保護」というところの「法律」は、借地借家法のことだと考えられますが、同法は、あくまで「建物の所有」を目的とする土地の賃貸借について適用され、更地の駐車場については適用されませんので、心配する必要はありません。

さらに詳しく

建物の賃貸借契約を、賃貸人から一方的に解約する場合には、借地借家法上の「正当な事由」等の厳格な要件を満たさなければなりません。
これに対して、借地借家法が適用される借地契約は、あくまで建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約ですので、更地の駐車場の賃貸借契約については借地借家法の適用はなく、賃貸借契約の終了に際して借地借家法上の「正当な事由」は必要ありません。
したがって、中途解約条項があれば、期間満了前であっても解約を申し入れることによって一定期間経過後に賃貸借契約を終了させることができます。

以上の通り、更地の駐車場契約については、契約の一方的解約に際して、借地借家法上の「正当な事由」は不要ですので、中途解約条項がある場合には、先に解約申し入れを行ってから、立退き交渉を行うことが賢明です。なお、更地ではなく、建物内の駐車スペースの場合は、建物の構造によっては、借地借家法が適用されることもありますのでご注意下さい。

本ニューズレターは、具体的な案件についての法的助言を行うものではなく、一般的な情報提供を目的とするものです。

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