ニューズレター


2014.Sep Vol.1

空き家は管理しなくてもよいか?


不動産業界:2014.9.vol.1掲載

昨年母が亡くなって、ずいぶん前に父も死んだものだから、実家はずっと空き家だったんです。
自分で手入れもできないからほったらかしにしていたんですけど、最近の異常気象で竜巻やら台風やらで友達の家の瓦が飛んで道を歩いていた人が怪我したみたいなんですよ。
異常気象のせいだから、別に責任はないと思うんですけど、もし私の家もそうなったら怖いと思って……


家の瓦等が飛んでしまったことにより、第三者が怪我したり、他の家等にあたって壊してしまう等の損害が生じた場合、家の所有者は当該損害を賠償しなければならない場合があります。
また、自治体によっては、放置されている空き家等を強制撤去するという条例(通称 空き家条例)がありますので、空き家の撤去費用が所有者に請求されることもあることに注意してください。

さらに詳しく

空き家には占有者はいない一方で、一般的に適正な管理ができていない可能性があります。そもそも、土地の工作物(建物自体のみならず瓦やブロック塀等も含みます。)の設置又は保存に瑕疵がある場合、すなわち、管理を怠り通常有すべき安全性を有していない場合には、たとえ自然現象が原因であるとしても、所有者は、損害賠償責任を負うことになります(717条1項)。また、民法717条1項は免責規定を置いていないため、所有者は常に責任を負うことになります。

更に、昨今では、高齢化、都市への人口の集中等により、相続したご実家があるものの、住むこともできず、解体するにもお金がかかり、解体したら税金が高くなるということで、空き家として放置されている例が増大しています。
そこで、最近は各自治体において、下記のような「空き家条例」を制定し、風で瓦等がとばされたり、延焼等の可能性が高い空き家について、改善を指導勧告したり、撤去したりできるような態勢をとっています。加えて、当該撤去費用は、所有者負担となる旨も併せて規定されており、所有者の意思によらず、突然の費用負担が発生する可能性もあります。
例えば、秋田県大山市が実際に5軒の空き家を取り壊しています。

空き家の放置は社会問題化しており、所有者としては法的リスク等を認識しておかなければなりませんので、上記法律及び条令にはご留意ください。

民法717条1項
「土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしていたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。」
大山市空き家等の適正管理に関する条例
第9条 市長は、空き家等が現に危険な状態にあり、かつ、当該危険な状態が相当程度であると認めるときは、当該空き家等の所有者等に対し、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
第12条 市長は、第9条の勧告に従わない者に対し、期限を定めて必要な措置を講ずるよう命令することができる。
第13条 市長は、前条の命令を受けた者が当該命令に従わない場合において、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつ、その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、行政代執行法 (昭和23年法律第43号) の定めるところにより代執行を行うことができる。

本ニューズレターは、具体的な案件についての法的助言を行うものではなく、一般的な情報提供を目的とするものです。

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