ニューズレター


2014.Oct Vol.1

食品の偽造表示に関する今後の規制について


飲食店・宿泊業:2014.10.vol.1掲載

あるしゃぶしゃぶ店が牛肉の産地を偽装したことがニュースになりましたが、最近、食品の表示等に関連する法律ができたと聞きました。
食品表示は、今後どのように規制されることになりますか?


今回のしゃぶしゃぶ店のケースには適用されませんが、昨年の6月に「食品表示法」という法律が成立しました。この法律は、産地の偽装表示等を取り締まるための法律です。食品表示法は平成27年に施行されますが、施行後は、偽装表示等の行為について一層厳しく規制される可能性があるといえるでしょう。

さらに詳しく:

現在、食品の表示については、食品衛生法、健康増進法、JAS法がばらばらに規定しています。それぞれの法律により、違反があったときの処分や罰則等も定められていますが、食品表示の基準や用語が、これらの複数の法律にまたがっているため、わかりにくいといわれてきました。そこで、消費者、事業者双方にとってわかりやすい表示になることを目指して、食品表示法が平成25年6月に成立しました。この法律は、平成27年までに施行されることになっています。

食品表示法は、食品関連事業者等に対して食品表示基準の遵守を義務付けます。すなわち、食品関連事業者は、内閣総理大臣が策定した食品表示基準を遵守しなければならず、当該食品表示基準の中では、原材料や原産地の表示基準も示されることになります(4条、5条)。

そして、食品表示基準において表示されるべきこととされている原産地(原材料の原産地を含む。)について虚偽の表示がされた食品の販売をした者に対する制裁として、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金という刑罰を予定しています(19条)。また、従業員が法人の業務に関して違法行為をしたときの法人処罰についても規定しており(両罰規定)、従業員が法人の業務に関して、原産地の偽装表示等を行って販売をした場合、行為者自身の処罰のほかに、その行為者を管理していた法人に対しても1億円以下の罰金刑を科すことが定められています(22条)。

食品の偽装問題をめぐっては、これまでも、適用される余地のある法律が複数ありましたが、それぞれの法律において適用の範囲や基準が不明確であったことから、処分や罰則の適用が行われにくかったといわれています。食品表示法の施行により、産地の偽装表示等についての明確な規定ができ、これにより適用基準が明確になり、しかるべき処分が行われやすくなったと考えられます。

食品を扱う企業においては、食品表示基準への理解を深める必要があるとともに、これまでより一層コンプライアンスの徹底が求められるといえるでしょう。

本ニューズレターは、具体的な案件についての法的助言を行うものではなく、一般的な情報提供を目的とするものです。

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