ニューズレター


2014.Nov Vol.1

景品表示法の課徴金制度の概要


卸売・小売業:2014.11.vol.1掲載

先日、景品表示法について、課徴金制度を導入することを国会で審議中だと聞きました。もし仮にこの制度が導入された場合、どんなことに気を付けなければいけないのでしょうか。


基本的には、今までどおりで問題はないと思われます。今回の課徴金制度の導入によって、広告の規制内容には変化はなく、単に「不当景品類及び不当表示防止法」(以下「景品表示法」といいます。)に違反した場合の効果が変わるのみです。そのため、今まで景品表示法に違反するような広告を出す等していなかったのであれば、今後も同じように気を付けながら業務を行えば足りるといえます。ただし、きちんと注意を払っていたという証拠を残すことは意識する必要があると考えられます。

さらに詳しく

今までは、景品表示法に違反した場合には、措置命令の対象となり、これに違反した場合は、罰金刑が科される可能性がありました。これらの措置に加え、現在、景品表示法に違反した場合に課徴金を課す制度を導入すること及びその詳細について、現在国会にて審議がされています。

消費者庁による平成26年8月26日付「景品表示法における課徴金制度導入に関する御意見募集」によれば、課徴金の金額は、対象商品または役務の売上額の3%と考えられています。もっとも、景品表示法に違反してしまった場合に、直ちに売上額の3%を納めないといけないかというと、そういうわけではありません。

まず、売上額の3%が150万円以下であった場合には、課徴金の対象にはなりません。それ以外にも、会社が以下にあげるような対応をとることで、課徴金の対象から除外されたり、課徴金が減額されたりする可能性があります。

① 違反行為を自主申告した場合は、課徴金の2分の1が減額されます。
② 違反行為について注意義務を尽くしていたことを立証した場合は、課徴金の対象から除外されます。
③ 特定の消費者に対する返金等の手続をとった場合は、課徴金の対象から除外される可能性があります。

特に、②のことを考えると、普段から注意を払って注意義務を尽くすのはもちろんのことですが、今後は、注意義務を尽くすことにとどまらず、そのことを立証するだけの証拠を残しておくことも重要になると考えられます。

この課徴金制度は導入されることが決定したわけではありませんが、もし導入されることが決定したら、普段からきちんと注意を払い、かつ、万が一違反してしまったら誠意ある対応を見せる、ということが今まで以上に重要になるでしょう。

もっとも、具体的にどこまで注意を払えば課徴金の対象から除外されるかは、まだ具体例もなく、今後の事例の蓄積等を待たざるを得ないと考えられます。少なくとも、新たな広告掲載などにあたっては、弁護士等の専門家の意見は聞いておく必要があると考えられます。

本ニューズレターは、具体的な案件についての法的助言を行うものではなく、一般的な情報提供を目的とするものです。

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